近年、ロンドンに行くと必ず立ち寄るミュージアムがある。地下鉄ホルボーン駅から徒歩5分ほどの、リンカーンズ・イン・フィールズというジョージア朝式住宅街にある博物館で、金融や法曹関係のオフィスが建ち並ぶホルボーン地区に立地しながら、駅前大通りを一本入ると、その喧騒とはまったく無縁の緑豊かな環境の中にその建物はある。博物館とはいえ、この施設はロンドンの中で最も小さなコレクションであり、うっかりすると見つけられないまま通り過ぎてしまいそうな国立のミュージアムだ。
さてこのミュージアム、イギリスでは著名な建築家ジョン・ソーンズの自邸を公開したもので、18-19世紀にネオ・クラシックのスタイルで活躍した彼の膨大なコレクションが収められている。展示空間である狭い回廊や各室内には、無数の古代彫刻を石膏で型取った断片や石彫レリーフ、中央吹き抜け部にはミイラの石棺、さらに壁面は建築模型・絵画が隙間なく展示され、彼の古代への情熱が、病的なまでに収集されたコレクション群となり所狭しと埋め尽くしている。このマニアックで増殖的な空間、これこそまさに英国の不思議の国の博物館である。
最近ではHP等で紹介されたこともあってか、日中は大勢の観光客が訪れるようになった。だから僕は、混雑を避けるため閉館の一時間前に入館するのだが・・・・・。このミュージアムは、夕刻の、館内のギャラリーも落ち着きを取り戻し、天窓よりこぼれる自然光が淡く空間を包み込む頃が最も魅力的で、取りつかれたように集められた収蔵物と多少のカビ臭さに包まれつつ、古代ロマンの時空へタイム・スリップすることで、至福の時を過ごすことのできる、お気に入りの場所なのである。
もちろん、このサー・ジョン・ソーンズに限ったことではないのだが、過去の時間・歴史的なモノが集積されている博物館は、記憶の装置であり、記憶のメカニズムそのものに向き合うことのできる場なのである。たとえ記憶が個々人別々の存在であれ、記憶の多元性を前提とした上であろうと・・・・・。ミュージアムとは、個人或いは人類の記憶を想起させる重要な場所であることは間違いない。
さてこのミュージアム、イギリスでは著名な建築家ジョン・ソーンズの自邸を公開したもので、18-19世紀にネオ・クラシックのスタイルで活躍した彼の膨大なコレクションが収められている。展示空間である狭い回廊や各室内には、無数の古代彫刻を石膏で型取った断片や石彫レリーフ、中央吹き抜け部にはミイラの石棺、さらに壁面は建築模型・絵画が隙間なく展示され、彼の古代への情熱が、病的なまでに収集されたコレクション群となり所狭しと埋め尽くしている。このマニアックで増殖的な空間、これこそまさに英国の不思議の国の博物館である。
最近ではHP等で紹介されたこともあってか、日中は大勢の観光客が訪れるようになった。だから僕は、混雑を避けるため閉館の一時間前に入館するのだが・・・・・。このミュージアムは、夕刻の、館内のギャラリーも落ち着きを取り戻し、天窓よりこぼれる自然光が淡く空間を包み込む頃が最も魅力的で、取りつかれたように集められた収蔵物と多少のカビ臭さに包まれつつ、古代ロマンの時空へタイム・スリップすることで、至福の時を過ごすことのできる、お気に入りの場所なのである。
もちろん、このサー・ジョン・ソーンズに限ったことではないのだが、過去の時間・歴史的なモノが集積されている博物館は、記憶の装置であり、記憶のメカニズムそのものに向き合うことのできる場なのである。たとえ記憶が個々人別々の存在であれ、記憶の多元性を前提とした上であろうと・・・・・。ミュージアムとは、個人或いは人類の記憶を想起させる重要な場所であることは間違いない。
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