土屋公雄のブログ

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よみがえる「ヨーゼフ・ボイス」
 忙しさにかまけてブログが書けないでいた。本来ならば今日僕はロンドンで、5月開催予定の国際交流WSの打ち合わせをしているはずなのだが、14日に発生したアイスランド南部の火山噴火による影響でBA便がキャンセルとなり、久しぶりに柏のアトリエでオフ時間を取った。

 一昨年より、愛知芸大と武蔵美・建築科で二つの個人研究室を持ち、それぞれは大学やゼミがらみのプロジェクトが進行し、さらに昨年春より、土屋研卒の若手アーティストたちと土屋公雄APT(アート・プロジェクト・チーム)を立ち上げ、プロジェクトやパブリック・ワークを制作。もちろん個人的な作家としての展覧会準備のための制作も、時間をつくり進めているのだが、やはり複数のプロジェクトが同時展開していると、スケジュールや僕の頭の中は、かなり混乱をきたした状態だ。ただ、これらのプロジェクトはすべて社会や環境にコミットするものであり、美術が多様化する現代に、新たな価値や役割を思考する上では同一線上のコンセプトゆえに、どのプロジェクトも、社会・環境とアートの関係性を創造する上では刺激的な内容である。

 僕にとって「アートが社会に対し、何をなしうるか」という命題は、1982年の「ドクメンタ7」にさかのぼる。ドクメンタ7展が開催されたドイツ・カッセル市のメイン会場前には、一本3~4メーターの玄武岩が7000個山積みされていた。そのスケールにも圧倒されたのだが、このインスタレーションこそヨーゼフ・ボイスの「7000本の樫の木プロジェクト」の序説であり、それら石群は展覧会スタートと同時に、7000本の樫の木の植樹と共に苗木の前に埋められて行く石柱であった。樫の木プロジェクトは、賛同する市民ボランティヤや企業の協力よって、5年後のドクメンタ8・オープニング合わせ完成させる計画であったが、‘86年にボイスが亡くなったため、最後の一本は翌年の開催時に息子の手によって植えられた。この、アーティストによる社会エコロジー的活動ないしアート・プロジェクトは、当時の僕には難解なものに思えたのだが、確かに彼によって社会とアートの関係性の知的扉は開かれ、後にボイス独自の「拡張される芸術」「社会彫刻」の概念を学ぶこととなった。
 ボイスの背後にはシュタイナー思想があり、なぜ木を植えることが創造的行為で、なぜ芸術家がエコロジーを語るのか。ようやく世界も、今日の社会・環境問題を目の当たりにして、ボイスの語る「すべての人間は芸術家であり」、その人間の創造力こそ重要な資本となり、社会・環境の形成に参与することが必然的なこととして真実味をおびている。
 当時は僕自身理解できていなかったのだが、ボイスの政治的でエコロジーな活動は、「アーティストは、自分の作品だけを作っていればよい」という一般的概念だけでなく、「アートとは本来、アーティストが狭い個人の世界だけに閉じこもり制作することだけではなく、社会や環境、政治・経済とも深く関わっているところがあり、それら広義な活動もアートの使命である」。・・・・・彼は、アーティスト自信も社会的なことに積極的に関わることで、我々未来の社会秩序をどうしたらいいのかを考え、プロジェクトやアクションを起こすことでメッセージとした思想家であり芸術家だった。

 ボイスが残した思想・活動・作品・言葉には刺激的なものが多くあるのだが、その中から・・・・・、「現在、この芸術という領域は社会の中でも特殊な位置を占めている。法律構造とか経済システムとか、いろいろ他にも仕事の領域はあるけれど、・・・・・私の考えは、芸術こそ進化にとって唯一の可能性だということです。しかしそうなると、芸術という観念を拡大して、あらゆる想像力を含みこまなければならない。そうすれば当然、生きとし生けるもの全てが芸術家・・・・・自らの可能性を展開できるという意味で・・・・・だ、ということになる・・・・・だから、要するに私は、あらゆる仕事は芸術の質を持たなければならない」。
 「・・・・・もはや失われてしまったものを時間意志の進んだ我々の文化に取り戻すという必要性にもとづく、意志の力という意味での生気なんだ。つまり、このような失われた力、シャーマニズムの持っている力をすくいあげ、我々の思考の文脈にまったく新しいかたちで注入しようとする意志・・・・・。」

 「美しい作品を作ることは、美しいことではないよ」と語ってもいたボイスにとって、芸術とは、我々一人一人が創造性を持って、社会の新たな秩序形成にコミットメントすることだった。・・・・・最近あらためてボイスが僕の中でよみがえるのは、現在進行中のプロジェクトすべてが社会に関与、循環するものであり、30年前に彼が語っていたことと多くの点で連続するからであろう。


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Date : 2010.04.25 Sun 15:08  未分類| コメント(-)|トラックバック(0)
 

  

 

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