12月、アトリエのラジオからクリスマス・ソングが流れています・・・・・。
すでに半世紀も前の話です。僕の記憶に誤りがなければ、かつて僕がお世話になった栄冠幼稚園の中庭には、大きな桜とクルミの木がありました。さらにキリスト教幼稚園として創立された栄冠には、敷地内に木造の北欧式教会と、そのエントランス部分の鉄扉脇には、高さ10メーターはあったでしょう、「もみの木」が一本たっていました。いつ頃からか毎年クリスマスが近づくと、その「もみの木」は様々な電飾で飾られ、道行く人へ幻想的な輝きを放っていました。
今となっては、クリスマス時期のイルミネーションなど珍しくもありませんが、当時、この大きな「もみの木ツリー」のある栄冠幼稚園は、子供の僕には自慢の一つでした。
「クリスマス・キャロル」を書いたディケンズ(英)と親交のあったアンデルセン(デンマーク)の童話の中に「もみの木」という話があります。この話は、美しい森の中で自らの幸せに気づかず未知の世界にあこがれ続けた木の物語です。
・・・・・むかしむかし、ある森の中に、小さな一本の「もみの木」がありました。この小さな「もみの木」はいつも上を見ながら、早く自分も立派な「もみの木」になることを願っていました。彼にとって森の中での生活は、変化も無く退屈なものに感じられましたが、クリスマスが近づく頃、この森で一番美しいとされる「もみの木」が選ばれ、街に出て、そこで豪華に着飾ったクリスマス・ツリーになることを知りました。いつの日か彼も、この森で一番美しい姿の「もみの木」となり、未知の世界にデビューすることを夢見るのです。・・・・・ある年の冬、とうとう彼にもチャンスが訪れます。立派に成長し美しく枝を広げた「もみの木」は、人間に見そめられ、念願のツリーとして切り倒され、長年住んだ森とも別れを告げるのです。街に運ばれた「もみの木」は、ある家族の祝福を受けながら、暖炉のある暖かな部屋でクリスマス・ツリーとして見事に飾られ、みんなの注目も浴びながら、人生で最高の瞬間を味わっていました。そして、この幸福な時間は一生続くものと信じていました・・・・・。
しかしクリスマスの翌日、用を終えた彼に待っていたのは薄暗い屋根裏部屋でした。屋根裏の「もみの木」は、次第に干からびていく自分の姿を見つめながら、かつての単調ながら夢に満ちた森での生活を懐かしく思い返すのです。・・・・・やがて、みすぼらしく枯れ果てた「もみの木」は、彼がこれまで一番大切にしていた頭上の星飾りまではがされ、炊き木にされてしまうのです。・・・・・なんとも無情な結末です。
僕にはクリスマス・ソングが流れる頃、必ずこの「もみの木」と「クリスマス・キャロル」の物語がよみがえるのですが、多分これらの話は栄冠時代に聞いた話でしょう。ただ長い年月が経ち、今尚これらの話が僕の記憶を揺さぶるのは、・・・・・きっと、幼心に世の中の理不尽さを、正面で受け止めていたからかもしれません。
すでに半世紀も前の話です。僕の記憶に誤りがなければ、かつて僕がお世話になった栄冠幼稚園の中庭には、大きな桜とクルミの木がありました。さらにキリスト教幼稚園として創立された栄冠には、敷地内に木造の北欧式教会と、そのエントランス部分の鉄扉脇には、高さ10メーターはあったでしょう、「もみの木」が一本たっていました。いつ頃からか毎年クリスマスが近づくと、その「もみの木」は様々な電飾で飾られ、道行く人へ幻想的な輝きを放っていました。
今となっては、クリスマス時期のイルミネーションなど珍しくもありませんが、当時、この大きな「もみの木ツリー」のある栄冠幼稚園は、子供の僕には自慢の一つでした。
「クリスマス・キャロル」を書いたディケンズ(英)と親交のあったアンデルセン(デンマーク)の童話の中に「もみの木」という話があります。この話は、美しい森の中で自らの幸せに気づかず未知の世界にあこがれ続けた木の物語です。
・・・・・むかしむかし、ある森の中に、小さな一本の「もみの木」がありました。この小さな「もみの木」はいつも上を見ながら、早く自分も立派な「もみの木」になることを願っていました。彼にとって森の中での生活は、変化も無く退屈なものに感じられましたが、クリスマスが近づく頃、この森で一番美しいとされる「もみの木」が選ばれ、街に出て、そこで豪華に着飾ったクリスマス・ツリーになることを知りました。いつの日か彼も、この森で一番美しい姿の「もみの木」となり、未知の世界にデビューすることを夢見るのです。・・・・・ある年の冬、とうとう彼にもチャンスが訪れます。立派に成長し美しく枝を広げた「もみの木」は、人間に見そめられ、念願のツリーとして切り倒され、長年住んだ森とも別れを告げるのです。街に運ばれた「もみの木」は、ある家族の祝福を受けながら、暖炉のある暖かな部屋でクリスマス・ツリーとして見事に飾られ、みんなの注目も浴びながら、人生で最高の瞬間を味わっていました。そして、この幸福な時間は一生続くものと信じていました・・・・・。
しかしクリスマスの翌日、用を終えた彼に待っていたのは薄暗い屋根裏部屋でした。屋根裏の「もみの木」は、次第に干からびていく自分の姿を見つめながら、かつての単調ながら夢に満ちた森での生活を懐かしく思い返すのです。・・・・・やがて、みすぼらしく枯れ果てた「もみの木」は、彼がこれまで一番大切にしていた頭上の星飾りまではがされ、炊き木にされてしまうのです。・・・・・なんとも無情な結末です。
僕にはクリスマス・ソングが流れる頃、必ずこの「もみの木」と「クリスマス・キャロル」の物語がよみがえるのですが、多分これらの話は栄冠時代に聞いた話でしょう。ただ長い年月が経ち、今尚これらの話が僕の記憶を揺さぶるのは、・・・・・きっと、幼心に世の中の理不尽さを、正面で受け止めていたからかもしれません。
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