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土屋公雄のブログ

「静かな叛乱/レベッカ・ホーン」
 昨夜は東京都現代美術館でのレベッカ・ホーン展内覧会並びにレセプションに行ってきた。僕がレベッカの作品に初めて出会ったのは、1987年ドイツ・ミュンスターでの野外彫刻プロジェクトの時である。・・・・・今尚あの衝撃は忘れない。あれから20年。彼女の個展は93年グッゲンハイム美術館での大規模な展覧会を含め3・4回は見てきたことになる。・・・・・そしていよいよ日本上陸。
 ドイツの現代美術を代表するレベッカは、70年代より身体機能の拡張というコンセプトから独自の装置を使いパフォーマンスを展開。包帯や羽の素材で特殊な衣装や器具を制作し、身体の自由を拘束したり、体の一部を延長することで、肉体の苦痛や限界を表現してきた作家である。制作の動機、また作品の背景には、かつて第二次世界大戦でナチスが犯した罪、その治癒する過程を作品に移入することや、ユダヤ人虐殺の考えを変換する意味が込められているのだろう。いずれにしても、彼女の作品は常に人間の肉体・精神の苦痛と無関係ではないのだ。

 レベッカのキネティックは、昨今メディアアートの「動きます・楽しければよい」という参加型エンターテイメントのデザイン表現とは180度異なるものである。

 彼女はレセプションの席で我々に対し、「今回の展覧会は、私の集大成的なものであり、観客の方々にはこれまでの私の精神世界を旅してもらいたい。・・・・・ただ、今日のように大勢の中ではなく、なるべく人の少ない時に・・・・・。」 尤もである。


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Date : 2009.11.02 Mon 11:48  未分類| コメント(-)|トラックバック(0)