土屋公雄のブログ

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国際交流ワークショップ2009 
 今年も昨年に引き続き、武蔵野美術大学建築学科とチェルシー美術大学スペースデザイン科による合同ワークショップがロンドンを舞台に行なわれた。今回のテーマは「食・料理・食べること」。この人間にとって日常的且つ重要な行為を、文化・習慣・儀式を通して、アートや空間、デザインの観点から調査・研究するプログラムである。

 本来ワークショップとは、集団における関係性の中で、何か新たな創造を生み出す為のワーキング・セッションを意味する。この集まりは一時的なものにして、まずは他者と集団を意識することに始まり、多様な差異を感じながら相互間のコミュニケーションを図りつつお互い刺激し合うことが求められる。特に美大生が対象となるワークショップにおいては、アクションや知覚が従来の教育という先入観から解き放たれ、これまでとは異なる発見や経験、共感が集団の中で共有されるのである。
 さらにこのワークショップの目的は、参加学生が公共的な場で、テーマに沿いながら個々のプランをかたち作るのではなく、学生たちが共にイメージプランを出し合い、その構想を全体でより明快なものにするために調査・フィールドワークを重ね、最終的にはいくつかのプランに結実させながら、そのプロセスも開示し、チームとしての計画を何らかの媒体で表現していく、その為の実践にある。
 ロンドンでの多国籍学生による合同ワークショップでは、様々な価値観の違いに始まり、個人のこれまでの常識をどこかで疑わなければいけないこともあるだろう。言葉の壁とも向き合い、その中で微かに自己表現を保ちながら、しかしその表現すら個人から離れ、どんどん変えられていくことにもなるだろう。ただこの可変的なところが国際交流ワークショップの魅力であり、最終的に結実された表現は、小さな個人を飛び越え、より多くの人が共有できる表現としての可能性を持つのだ。さらにそのプロセスは他者と自己の差異を発見し、自己を客観的に見直すことを通して、新たな自己発見へと繋がる可能性を生み出すのではないだろうか。

 今回のワークショップは、5~6名の学生がそれぞれ4つのチームに分かれ「食」というテーマでロンドン市内に点在するマーケット(市場)や、レストラン、パブ、カフェ、パブリックスペース、ストリートフードなどをリサーチした。ロンドンはコスモポリタンな都市である。チャイナタウンやインディアン街、アラビックやグリークなど、文化的にも多様なエリアが複数あり、学生たちは精力的に調査活動を行なった。大学内では、今年もチェルシー美術大学の全面的な協力をいただき、スペースデザイン科主任ケン・ワイルダー氏を始めとし、講師の長谷川貴子さん、アーティストのKristina Kotovさんから、各グループは適切なアドバイスを受けながらディスカッションやスタディを重ね、最終日の講評会に向け制作を行なっていった。

 ここで各チームのプレゼンテーションに触れるのだが、今回の特徴として、ワークショップのテーマが「食」ということから、4チームともその表現手段がパフォーマンスという形を採った。これはやはり「食」という行為が如何に身体的表現に直結しているかの現われであった様思う。まず「The Camouflaged Table/New Picnic Experience」と題したチームは、イギリスにおけるピクニック文化の調査に始まり、英国人の公園など野外公共空間での食体験をユーモラスさも交え表現したもので、芝生から突然テーブルが出現し食事がスタートするパフォーマンスは、ギャラリーの笑いも誘うユニークな発表であった。次に「We are all Prisoners of Food」と題したチームは、食事の際の不都合や不具合を考察するパフォーマンスで、同じ食べ物を自由な空間で食べることと、刑務所という束縛された特殊な空間で食べることの違いについて、食事とその環境の関係性を実践的に検証する内容であった。次に「The Floating Feast」と題したチームは、食に関する歴史的・文化的背景の不確実性を、ヘリウムの入ったバルーンを使い、浮遊する祝宴のイメージとしてパフォーマンスで演じて見せた。最後に「Holeday Holiday」と題したチームは、食事が地域コミュニティのアイデンティティー形成と深く関わっていることの実践として、仮想の祝日「ホールデー(穴の日)」をつくり上げ、この特別な日は、すべての食べ物に穴を開けお祝いするパフォーマンスを実験的に行なった。
 各グループのプレゼンテーションはオリジナリティー溢れるものであり、学生たちの伸び伸びとしたパフォーマンスには、会場となった大学キャンパスコートに笑いが絶えなかった。
 グループワークの実践とは、作品や表現手段がどのようなものであれ、共同作業を通じてコンセプトや方法論を明解にすることで、個人の役割や考えを意識化しながら共有して行くものである。表現活動がより社会に開かれて行く現在、新たなるコミュニティの場としてのワークショップは、今後益々必要とされるプログラムであろう。

 昨年春、初の試みとして行なわれた国際交流ワークショップも、今夏新たなテーマで二回目を向かえることが出来た。今後もこのプロジェクトが生きた国際交流、また他大学との共同による社会的実践、さらには多様な芸術創造を図る新たな人材育成に繋がることを心より願っている。
 末筆ながら、合同ワークショップ実施にあたり多大の支援をいただいた武蔵野美術大学国際部、並びにロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの関係者各位に、心より感謝いたします。


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Date : 2009.08.16 Sun 16:33  未分類| コメント(-)|トラックバック(0)
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