土屋公雄のブログ

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ライトニング・フィールド
 昨夜、東京上空には幾度も稲妻が走り雷鳴がとどろいた。僕はしばらくのあいだリビングの照明を消し、春の稲妻に見入っていた。

 稲妻というと、僕には忘れられない場所がある。それは米国ニューメキシコ州西部、クエマドに広がるライトニング・フィールドである。
ライトニング・フィールド「稲妻の平原」は、遠くに山脈を望む乾燥性の盆地に位置し、辺りに眺望を遮るものなど何もなく、半砂漠化した人跡未踏の大地である。さらにこの地帯はアメリカでも有数の落雷の多い場所であり、アースワークのアーティスト、ワルター・デ・マリアにとっては、土地の持つ潜在能力や視覚的壮大さ、そして稲妻を誘発させるプロジェクトを仕掛ける場としては、この地クエマドは、最高に条件の整った場所だったのだ。
 僕がこの地を訪れたのは1993年9月、USIS米国・国務省の招聘プログラムで、約1ヶ月間アメリカ全土に点在するアースワークを視察した時のことであった。

 1977年に完成したこの「稲妻の平原」には、横・縦5m~7m間隔(グリッド状)で並んだ高さ約6mのステンレス鋼ポール(直径約5cm)が、東西に1キロ、南北に1.6キロのスケールで400本立ち並んでいる。
 ここに訪れた観客は、必ず指定のロッジに泊まり24時間滞在しなければならない。そしてその壮大な自然の中で、しばし都会の喧騒を忘れ、太陽の運行や繊細な光の変化を体験するのである。運がよければ天地にとどろく雷鳴と共に、天空を切り裂く稲妻の目もくらむような電光を目撃できるのだ。
 僕はドイツから来た建築家と二人、その瞬間に立ち会うべく、平原に建てられたロッジ・テラスの揺り椅子に座り待っていた。
・・・・・数時間待ったが、閃光はどこにも走らなかった。ただ恐ろしいほど正確に配列されたステンレス柱が夕暮れ時、1本1本その先端部分から夕日を受けて金色に輝き、燃え立ち始めた時には、集中した僕の視界はすべて光の中に吸い込まれていた。
 翌朝僕たちは早起きし、その針のようなポール先端部分の一日のはじまりの光を、「崇高」と「連続」の感動として受け止めた。

 正直なところ、16年前僕が「稲妻の平原」で体験したことを、どの様に表現すれば良いのか分からない。ただこの壮大なプロジェクトには、人間の想像の限界を超えようとする企てがあり、その人工的企ては、やはり愛すべき人間の可能性への挑戦、そして孤独と挫折。・・・・・まさにそこには、永遠の芸術的世界観が見えてくるのである。

 ライトニング・フィールド。・・・・・残念ながら稲妻に出会うことは出来なかった。
しかし芸術の持つ精神的且つ美的体験は、十分味わえる場所であった。


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Date : 2009.04.29 Wed 20:07  未分類| コメント(-)|トラックバック(0)
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