土屋公雄のブログ

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国際交流プロジェクト
この度、武蔵野美術大学初の試みとなる国際交流プログラム「リバー・プロジェクト」が、英国のテムズ川を舞台に、ロンドン・チェルシー美術大学とムサビ建築学科による共同ワークショップとして行われた。ムサビの参加学生は学部生三年から5名、四年生から3名(この春、卒業となる学生)、大学院生が2名、そして卒業生1名の計12名に対し、チェルシー側はスペースデザイン科の大学院生25名。さらにプロジェクト・アシスタント2名、講師4名(現地ゲスト・チューターも含む)の総勢43名によるワークショップとなった。

プロジェクト・テーマは「川が結ぶもの」とし、ロンドンと東京の二都市に流れる代表的川、テムズ川と墨田川を対象に、政治や経済・産業、またその歴史・文化的文脈も踏まえながら、人々の生活が川といかに密接に繋がっているかを探り、検証する内容である。但し今回は、このプロジェクトが初の試みでもあることから、隅田川並び東京に関する情報は、事前にムサビの学生によってリサーチされ、ワークショップ当日、チェルシー・カレッジでのレクチャーの際プレゼンテーションされた。
初日のレクチャーでは、今回このプロジェクトを快く受け入れてくれた、チェルシー美術大学M.Aスペースデザイン科の主任講師ケン・ワイルダーより、ワークショップ序説としてのテムズに関する講義があり、ロンドン・テムズの歴史はもとより、干潮現象やローマ時代の橋からミレニアム・ブリッジまで、テムズ川に架けられた橋に纏わる話等を聞くことが出来た。
チェルシー・カレッジ・スペースデザイン科は、主任のケン・ワイルダーを中心とした講師陣により、ファインアートを主軸とした都市空間のあり方や、ランドスケープデザイン、ソーシャルアート、パブリックアートといったサイトスペシィフィックな内容の授業を展開してきており、工学系とは異なる独自の美術大学としての建築学科を目指す我々としても、建築とアートを領域横断的に捉える両者には、何かと共通点の多い交流プログラムとなった。

社会の価値観がこれほど多様化した現代にあって、表現の問題も芸術・文化領域に留まらず、環境問題や都市空間におけるコミュニティのあり方、国際化における人種・格差の問題や情報産業と人間の意識や行動など、人間社会のさまざまな側面と関連しており、表現の世界も、アーティストが従来のよう、単に個人の表現に吸収されるのではなく、建築や美術の文脈を超えた幅広い視点・関係性で、社会における新たな価値・役割を創造することが必要である。
そこで今回のワークショップでは、両国36名の学生がシャッフルされ、各チーム5名から6名で6チームに別れ、それぞれのチームがそれぞれのアプローチから、テムズ川をリサーチの対象に活動を行った。
ワークショップ期間は、僅か一週間(実質5日間)と短いものではあったが、その内容の濃さは最終日のプレゼンテーションにおいて十分感じ取ることが出来た。

ここで各チームのプロジェクトに触れることとするが、「River Project」と題したチームは、テムズ川によって分断された北と南の両岸を、物質としての橋ではなく、新たに生じるコミュニケーションとして、精神的媒体となり得る音と光によって結び付ける内容で、彼らはそのイメージをCG(コンピューター・グラフィックス)によってリアルに表現した。次に「Bridging Without Bridge」と題したチームは、影絵を映像化したもので、川沿いを歩く人々の影を橋に投影することで、その影が川を横断しているようにも錯覚する不思議な作品であった。次に「Recording tide」と題したチームは、テムズ川の大きな特徴の一つである潮の満ち干を、それ自身の力により潮の運動を視覚的に記憶させるコンセプトで、直接桟橋に数メーターの布を張り、滲みによって潮位を表現したものであった。次に「Waste Castle」と題したチームは、干潮の際、直接テムズの浅瀬にて石や流木を素材にミニチュアの都市を作り、潮が満ちて、その構造物が崩壊していくプロセスを映像に記録したものである。これは「時間」をイメージしたものであるが、その先にロンドンの都市を背景に、スクラップ・アンド・ビルドとしての東京の都市構造をダブらせたものであった。次に「B-Life」と題したチームは、テムズ川で生活するボートハウスを取材・調査した。彼らは取材の際に記録した写真を使い、最終的にはそのフォトコピーで折り紙の船を何艘も作り、それらをテムズに流し、その後回収。回収されたフォトコピーは、チェルシーのスタジオの壁においてインスタレーションされた。最後のチームは「癒しの空間」をテーマに、テムズ川に浮かぶ癒し的効果を持つ空間を設計、その模型を映像で再生し表現とした。
最終日には、AAスクールを卒業され、現在チェルシーで講師をされている長谷川貴子さんにもゲスト・チューターとして参加していただき、緊張感のある講評会となった。

それぞれのチームはそれぞれに個性を持ち、限られた時間の中で調査・実験・制作と、連日ハードな作業をこなし、そして最終プレゼンテーションへと展開してくれた。特にムサビの学生たちは、言葉の壁のある海外でのワークショップにおいて、現地チェルシーの学生と対等に渡り合い、各チームそれぞれが一つのテーマでクリエーティブする中で、彼らには特別な人間関係と生涯忘れえぬ思い出、さらに今回の貴重な経験は、将来必ずやクリエーターとしての自信に繋がることだろう。

初の試みとして行われたチェルシー美術大学、そしてムサビ建築学科による国際交流ワークショップは、予想以上の成果を上げられたものと信じている。一対一の生徒間による交流も大切だが、各研究室間による国際交流も、今後の展開としては重要な教育現場と考えている。

最後に、今回このプロジェクトを全面的に支援して頂いたムサビ国際部の長澤忠徳氏、また昨年までは土屋スタジオの院生であり、現在チェルシーに籍を置き、ロンドン・サイドの準備において大変お世話になった越後正志君には、心より感謝しています。


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Date : 2008.03.29 Sat 13:26  未分類| コメント(-)|トラックバック(-)
 

  

 

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